シリーズの最終作『刑事物語5 やまびこの詩』は、舞台を群馬県沼田市に移し、
“ハンガーヌンチャク刑事”片山元が再び難事件に挑む感動作です。
本作では、少女を狙った毒物事件を軸に、片山の信念と仲間の絆が描かれていきます。
シリーズを締めくくるにふさわしい、緊張感と人情の融合が光る一作です。
Contents
主なスタッフとキャスト
監督:杉村六郎
『刑事物語2』『北の国から』などで知られる杉村監督が、地方の空気感と人間模様を
丁寧に演出。
主なキャスト
武田鉄矢(片山元)
シリーズの顔。熱血漢だがどこか抜けた刑事。
今作では少女を救うため、地道な捜査を続けます。
賀来千香子
真咲姉妹の姉役。冷静で芯のある女性像を好演。
鈴木保奈美
真咲姉妹の妹役。若々しさと危うさを併せ持つキャラクターを瑞々しく演じています。
井川比佐志、村井國夫、木村元、野分龍
実力派俳優陣が脇を固め、作品に深みを与えています。
ストーリー概要
群馬県沼田市で起きた異常事件——パラコート(除草剤)入りの牛乳を飲んだ
配達員の少女が重体に陥ります。
事件性を察知した片山刑事は、牛乳の配達先に住む真咲姉妹が狙われていると確信し、
周辺を調査開始。
しかし、不審な行動から痴漢と間違われ、まさかの留置所送りに。
片山の後を継いだ同僚・金井刑事は、地道な捜査を続けるものの、
謎の人物に車ではねられてしまいます。
片山は、事件の真相と背後に潜む“やまびこ”のような陰の存在を追い、
捜査を続ける中で、地方の人間関係や、被害者家族との絆を築いていきます。
映画の見どころ
緊迫の毒物事件
本作はシリーズ中でも特にシリアスな題材を扱っており、少女を襲った毒物混入事件という
現実味のある犯罪が、物語に深い影を落とします。
刑事ドラマとしてのサスペンス性が高く、観る者を引き込む展開が続きます。
片山と金井のバディ感
片山と彼の同僚・金井刑事の関係性にも注目です。
ドジながら熱血な片山と、真面目で冷静な金井。
二人の対照的なキャラクターが、物語にバランスと深みを与えています。
金井の負傷を経て、片山の決意がさらに強まる展開は胸を打ちます。
群馬・沼田の地方色
シリーズの特徴でもある“地方の空気感”は本作でも健在。
群馬の自然や街並み、地元住民の素朴な言葉がリアルに描かれ、
事件の緊迫感とのコントラストが際立ちます。
真咲姉妹との交流
真咲姉妹と片山のやりとりには、人と人との信頼関係の尊さが表れています。
守るべきものが明確になることで、片山の行動により一層の説得力が加わります。
最後を飾る片山の覚悟
シリーズのラストにふさわしく、片山の信念と覚悟が強く表現されています。
ユーモアは抑えめながら、そのぶん心に響く台詞や行動が多数登場。
彼の成長と、警察官としての原点を再確認するようなラストは感動的です。
映画の個人的な感想
『刑事物語5 やまびこの詩』は、シリーズ中でももっとも“社会派”な作品でした。
事件の重さに加え、地方社会の閉鎖性や、人間の陰の部分にも焦点を当てた脚本が
印象的です。
コミカルな要素が控えめな分、武田鉄矢の演技はより真剣味を帯び、
片山元というキャラクターにさらなる深みを与えていました。
特に、事件の核心に迫る過程で片山が見せる怒りと優しさ、その両方が心に残ります。
最終作として、感動と余韻を残す力強い締めくくりだったと感じました。
まとめ
『刑事物語5 やまびこの詩』は、ユーモアと人情、そして社会的テーマを
融合させたシリーズの集大成。
毒物事件という緊張感の高いテーマを扱いながらも、片山刑事の優しさと信念が
しっかりと伝わってくる作品です。
昭和の名作刑事シリーズのラストを飾るにふさわしい一作。
人情味ある刑事ドラマが好きな方、そして“片山元”という男の物語を見届けたい方に、
ぜひおすすめしたい作品です。
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