1980年の名作『ブルース・ブラザーズ』の18年ぶりの続編として
1998年に公開されたのが、映画『ブルース・ブラザーズ 2000』です。
前作でメガホンを取ったジョン・ランディスが再び監督を務め、
前作主演のダン・エイクロイド(エルウッド役)と
新たにジョン・グッドマン(マイティ・マック役)を迎えて
制作されたアクション・コメディ映画です。
前作でジェイクを演じたジョン・ベルーシは故人となっているため、
本作ではジェイクの死が物語の前提となっています。
代わりに様々な個性豊かな新キャラクターが加わり、
音楽、アクション、コメディの要素がパワーアップした続編となりました。
スタッフ・キャスト紹介
監督: ジョン・ランディス
前作『ブルース・ブラザース』や『アニマル・ハウス』などで知られる名監督。
本作でも独特のテンポの良い演出で笑いと迫力を両立させています。
エルウッド・ブルース: ダン・エイクロイド
主人公エルウッド役。黒スーツにサングラスというお馴染みのスタイルで再登場し、
兄ジェイク亡き後も“ミッション”を遂行すべく奮闘します。
エイクロイド自身が脚本も担当し、前作に負けない音楽愛あふれるキャラクターを
熱演しています。
マイティ・マック(マック・マクティア): ジョン・グッドマン
本作から参加する新相棒。豪快な体格と明るいキャラクターで、
エルウッドと共にバンドに加わることに。
俳優ジョン・グッドマンはコメディも得意で、劇中では意外な歌唱力も披露しています。
キャブ・チェンバレン: ジョー・モートン
イリノイ州警察の司令官。実は前作でエルウッドたちの師匠的存在だった
カーティスの隠し子という設定で、物語の鍵を握る人物です。
ジョー・モートンはシリアスな役柄が多い俳優ですが、
本作では次第にノリノリになっていく様子が見どころです。
クレオファス・ジェームズ牧師: ジェームス・ブラウン
ゴスペル教会の牧師役で登場し、魂揺さぶるパフォーマンスを披露します。
ソウルの神様ジェームス・ブラウンが本人さながらの熱い説教と歌で場面を盛り上げ、
観客のテンションも最高潮に。
マットの妻(ミセス・マーフィ): アレサ・フランクリン
エルウッドの旧友であるギタリスト、マット・“ギター”・マーフィの妻役。
前作に続きアレサ・フランクリンが演じており、劇中では圧巻の歌唱シーンも健在です。
彼女のパワフルな歌声は本作のハイライトの一つと言えるでしょう。
ストーリー
18年の刑期を終えて刑務所から出所したエルウッド・ブルースでしたが、
迎えに来るはずの兄ジェイクは既に亡くなっていました。
失意のエルウッドでしたが、修道女のマザー・スティグマタから
「新たなミッション」を与えられます。
それは、孤児となっていた少年バスターの面倒を見つつ、子供病院の資金集めのために
再びバンドを結成し音楽で世の中を助けること。
エルウッドは早速行動を開始し、元バンドメンバーを集める旅に出ます。
途中で出会った相棒マイティ・マックや少年バスターを引き連れ、
“ブルース・ブラザーズ・バンド”再結成の道を突き進みます。
しかしその背後では、エルウッドを怪しむ州警察のキャブ・チェンバレン司令官率いる
警官隊が彼らを追跡開始。
さらにはロシア系マフィアや怪しげなカルト集団なども現れ、
エルウッドたちは次々とトラブルに巻き込まれていきます。
それでも彼らは音楽の力を信じて突き進み、ニューオリンズで開かれる
バンド合戦(バトル・オブ・ザ・バンズ)での優勝を目指すのです。
果たしてエルウッドたちは無事ミッションを達成できるのか…!?
見どころ
音楽シーンの魅力
『ブルース・ブラザーズ 2000』最大の魅力は何と言っても音楽シーンの充実ぶりです。
前作でおなじみのブルース&ソウルの名曲はもちろん、本作ではゴスペルや
カントリー調まで全18曲ものパフォーマンスが盛り込まれており、
まるでコンサートさながらの贅沢さです。
主演のエイクロイド&グッドマンのコンビによる歌とダンスに加え、
ジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリンといったレジェンド級のミュージシャンによる
生歌も次々登場します。
特に終盤のバンド合戦ではB.B.キングやエリック・クラプトンなど豪華オールスター陣が
出演しており、ブルース・ファンにはたまらないシーンでしょう。
画面いっぱいに響く魂のこもった歌声と演奏は、観ているこちらも思わず
体でリズムを取ってしまうほどの迫力です。
「音楽ってやっぱり最高!」と感じさせてくれるシーンの連続で、
サウンドトラックも聞き応え満点です。
ド派手なカーアクション
前作『ブルース・ブラザーズ』といえば自動車クラッシュの山が名物でしたが、
その伝統は続編でも健在です。
本作ではパトカーやら軍用車やらが入り乱れてのカーチェイスが
さらにスケールアップしており、爆破と衝突の連続で画面から目が離せません。
特に中盤、エルウッドたちが「絶対後ろを振り向くな!」と言った直後に
巻き起こる大事故シーンでは、なんと63台もの車が山積みに大破するという
映画史に残る壮絶なクラッシュを披露しています。
このシーンはギネス記録にも認定され、前作の記録を塗り替えたほどです。
次から次へと車が空を飛ぶように吹き飛ばされていく様子は、
もはや痛快を通り越して笑いすら誘う迫力。
CG全盛の現代ではなかなか見られない本物の車を使ったド派手アクションは、
本作の大きな見どころの一つです。
パワーアップしたコメディ要素
音楽にアクションと来れば、コメディ要素も忘れてはいけません。
本作では前作以上にシュールでバカバカしい笑いが炸裂しています。
例えば、厳格だった警官のキャブが途中からなぜかブルースの楽しさに目覚めてしまう
展開や、謎のブードゥーの女王(エリカ・バドゥ演じるクイーン・ムセット)に
主人公たちが魔法で石像に変えられてしまうといった、普通ではあり得ない
ぶっ飛んだシーンも登場します。
さらにエルウッドに同行することになる少年バスターの存在もユニークです。
小学生くらいの少年が大人顔負けのスーツ姿でブラスバンドと一緒に演奏に加わる様子は
シュールですが、これがまた妙にハマっていて笑いを誘います。
修道女のマザー・スティグマタ(前作から引き続き登場)の体当たりなお仕置きや、
カントリー酒場での場違いな演奏シーンのドタバタなど、随所にコメディリリーフが
散りばめられており、終始ライトな笑いが絶えません。
前作のファンならニヤリとするカメオ出演(フランク・オズやスティーブ・クロッパーなど
お馴染みの面々が顔を出します)もあり、遊び心満載の内容になっています。
個人的な感想
正直に言えば、本作『ブルース・ブラザーズ 2000』は公開当時、批評家からは
あまり高い評価を得られませんでした。
前作があまりにも伝説的だったため、「ジョン・ベルーシ無き続編なんて…」という
厳しい声もあったようです。
しかし、ブルース愛とサービス精神はむしろ前作以上に感じられ、
私は素直に楽しめました。
確かにストーリーはドタバタの連続でご都合主義な部分もありますが、
それさえも「お祭り映画」らしい豪快さとして受け取ればいいのかなと思います。
エイクロイド演じるエルウッドの飄々としたキャラクターは健在で、
ジョン・グッドマンの新キャラも憎めない相棒ぶり。
ジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリンのパフォーマンスには思わず
拍手したくなりますし、ラストの超豪華セッションでは往年のブルース・ファンなら
感涙ものではないでしょうか。
続編としては好き嫌いが分かれる作品かもしれません。
それでも、あのブルース・ブラザーズの世界観が再びスクリーンで暴れ回るのを
観られるだけでもファンとしては嬉しいものです。
個人的には「細かいことは抜きにしてノリと勢いを楽しむ」のが正解だと感じました。
音楽に酔いしれ、笑ってスカッとできる痛快エンターテインメントとして、
本作は十分“アリ”だと思います。前作を知らなくても楽しめますが、
ぜひ1980年版『ブルース・ブラザース』を観てから本作に臨むと、
よりキャラクターやネタが理解できて面白さ倍増です。
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